フランチャイズ契約書は、本部が作った本部に有利な契約書です。それ自体は当然のことで、問題なのは加盟者が中身を理解しないまま署名することです。
110ブランドの公開条件を分析するなかで、「ここが書かれているかどうかで後の明暗が分かれる」という条項が見えてきました。実例とともに挙げます。
どのフランチャイズが自分に合うか、7つの質問で絞り込めます
掲載中の85ブランドから、予算・働き方・性格の条件に合うものを並べます。合わないものは合わないと書きます。入力は不要、所要1分です。
最優先で読む5つの条項
① 契約期間と更新条件
契約期間はブランドによって1年から10年まで開きがあります。
| 期間 | 実例 |
|---|---|
| 1年 | ガーテリア、みんなの入札ひろば、SMASELL |
| 2〜3年 | Qulias、大判小判 |
| 5年 | ポポラマーマ、現論会、STREET CHURROS |
| 6年 | 療育支援エフ |
| 10年 | カバーオール(東日本) |
確認すべきは更新のしかたです。自動更新か、双方協議か、本部の承諾が要るか。更新料の有無も条項で確認してください(ジェリーズポップコーンは「更新料なし」と明記しています)。
50代以上で加盟するなら、契約10年が何歳までの拘束になるかを計算してください。
② 中途解約の条件と違約金
最も見落とされ、最も損害が大きい条項です。
くらしのパートナーは、加盟金154万円を77万円からの分割にできる一方、「途中で解約される場合、残金を一括でお支払いいただきます」と明記しています。
確認すべきは3点です。
- 中途解約がそもそも可能か(期間満了まで解約できない契約もある)
- 違約金の算定方法(残期間のロイヤリティ相当額を請求される形か)
- 分割払いの残金の扱い
③ テリトリー権(競合店舗に関する規定)
自分の商圏に、同じブランドの店が出てこないかという条項です。
- ブラリバ:直営店やFC店がエリアで重複しないよう配慮、近い場合は必ず事前協議
- M’sアイブロウ:本部が市場調査を行い、出店エリア決定後に加盟契約
- りんくす:訪問マッサージは治療院から半径16kmの営業商圏が国により定められている
「配慮します」と「保証します」は別物です。契約条項としてどう書かれているかを確認してください。
法人で契約するなら
FC本部の多くは法人での加盟を条件にしています。会社設立には登録免許税などの実費がかかりますが、サービスの利用で実費負担を抑えられる選択肢もあります。
④ 契約終了後の競業避止義務
やめた後、同じ事業を自分で続けられるかどうかを決める条項です。
期間(1〜3年が一般的)、地域の範囲、対象となる業務の範囲を確認します。範囲が広すぎると、その業界で生きていけなくなります。修得した技術が自分のものにならない契約もあるため、研修で技術を学ぶタイプのFCでは特に重要です。
⑤ 本部の義務がどう書かれているか
加盟者の義務は細かく書かれている一方、本部の義務が抽象的な契約書は要注意です。
リフォーム職人はプラン別に月間紹介件数(5件/7件/10件)を明示していますが、サポート内容の欄には「本部からの案件斡旋(保証なし)」と記載があります。矛盾ではなく「目安であり契約上の保証ではない」という意味ですが、事業計画の根幹に関わる以上、契約書での扱いを確認すべきです。
開業後、この数字を管理するのはオーナー自身です
本部が示すPLはあくまでモデルケースです。実際に原価率や人件費率が計画どおりに収まっているかを毎月確認し、ズレの原因を潰していくのは加盟店側の仕事になります。開業前の事業計画づくりから決算まで相談できる税理士を見つけておくと、数字の異変に早く気づけます。
次に読む5つの条項
⑥ ロイヤリティの算定方法と変更の可否
率だけでなく「何に対する率か」を確認します。売上なのか、粗利なのか、本部送客分だけ率が変わるのか。FCCは自力開拓8%・本部送客16%、ブラリバは本部送客の利益を5:5で分配します。
あわせて本部が一方的に変更できる条項になっていないかを見てください。
⑦ 仕入れの指定
本部指定の仕入先を使う義務があるか。SMASELLは「自分で仕入れた商品も販売OK」、現論会は「什器、参考書、看板、物件契約などで本部がフィーをいただくことは一切ありません」と明記しており、裁量の広さが条項で担保されている例です。
逆に、ロイヤリティ0円でも材料の継続購入が実質的な本部収益になっているケースがあります(Dry Car Washは洗剤・販促物の購入を明記)。
⑧ 商品・サービスの供給義務
本部が商材を供給するモデルでは、供給が止まったときに事業が止まります。かきのおきては「100円生牡蠣の継続的・優先的供給」をサポートに挙げていますが、不漁時の対応や卸値の変動(固定か変動か)は確認が必要です。
⑨ 事業譲渡・相続
第三者に譲れるか、相続できるか。出口が1つしかない事業はリスクが高くなります。カバーオールは「事業を譲渡することも可能」としています。
⑩ 契約書と説明の一致
最後に、説明会で聞いた内容が契約書に書かれているかを照合します。口頭の説明は契約内容ではありません。
署名前にやるべき3つのこと
- 契約書を持ち帰る。その場で署名を求める本部とは契約しない
- 専門家に見てもらう。FC契約を扱う弁護士に数万円で確認してもらえば、数百万円の判断ミスを防げる
- 法定開示書面と照合する(対象業種の場合)。法定開示書面の読み方もあわせてご覧ください
加盟金が100万円を超えるなら、契約書レビューの費用は保険として安い部類です。
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失敗しないフランチャイズ本部の選び方
契約前に“数字”と“条項”で見抜く
この記事で挙げた「確認すべき点」を、どの本部にも使える形にまとめました。本文8,800字。
- 良い本部と危ない本部を見分ける判断基準(数字で確かめる方法つき)
- 契約書・開示書面で必ず質問すべき条項
- 収支シミュレーションの「盛られやすい場所」と、その見抜き方
- 説明会と既存オーナー訪問でそのまま使える質問テンプレート
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条件を決めてから、募集中のフランチャイズを探す
この記事で整理した観点(初期費用・ロイヤリティの方式・必要な人手・撤退条件)を決めてから探すと、迷いにくくなります。アントレには業種・エリア・契約形態から絞り込める募集情報がまとまっていて、各社の募集ページで条件を見比べられます。会員登録(無料)をすると、気になった本部の資料をダウンロードできます。
まとめ
契約書で最優先に読むのは、「やめるとき」に関する条項です。契約期間、中途解約、違約金、競業避止。始めるときの条件は募集資料にも書いてありますが、終わるときの条件は契約書にしか書かれていません。
そして本部の義務が具体的に書かれているか。案件紹介や売上保証をうたう本部ほど、ここを確認する価値があります。
※本記事は契約書を読む際の一般的な着眼点をまとめたものです。個別の契約条項の有効性や交渉可否については、弁護士等の専門家にご相談ください。
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