大衆酒場むには若年層向け食べ飲み放題のFCです。公開PLは1円単位まで検算が一致し、営業利益率25.5%・FL比率54.7%。家賃を売上比3.3%に抑え広告費に振り替える戦略と、オーナーが店に入らない前提の収益構造を詳しく解説します。
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。
- 加盟金
- 150万円
- 初期費用
- 1,630万円
- ロイヤリティ
- 売上の5%
- 店舗数
- 6店舗
オーナーが店に入らない前提のPL
本部の公式サイト・公開資料の数字をもとに掲載しています。詳しい前提は本文をご確認ください。
大衆酒場 むにとは
大衆酒場 むには株式会社casual(代表:源雄斐氏)が展開する食べ飲み放題の大衆酒場のフランチャイズです。「関西で大人気の大衆酒場」を掲げています。
ターゲットは若年層(20〜30代、主に女性)。本部の市場認識はこうです。
「食べ飲み放題の業態は、コロナ禍で有名な大手がほとんど潰れてしまったので意外とブルーオーシャンな領域です。比較的新規参入も少なく、私たちは普通の居酒屋と食べ飲みの両方でマーケティングを行っているため、そことは差別化ができていると考えています。オペレーションが簡易的なので調理経験のない方でも開業が可能です」。
店舗数は6店舗、募集段階は0次。推奨エリアは「若年層が集まる地域」です。
初期費用の内訳
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件取得費(居抜き) | 600万円(物件により変動あり) |
| 内外装費 | 400万円 |
| 加盟金 | 150万円 |
| 研修費 | 150万円 |
| 備品 | 70万円 |
| 初期広告費 | 20万円 |
| 採用費 | 20万円 |
| 消耗品費 | 10万円 |
| その他 | 10万円 |
| 保証金 | 0円 |
| 内訳の合計 | 1,430万円 |
| 資料の初期費用表記 | 1,630万円 |
この費用を法人で用意するなら
FC本部の多くは法人での加盟を条件にしています。会社設立には登録免許税などの実費がかかりますが、サービスの利用で実費負担を抑えられる選択肢もあります。
初期費用に200万円の差があります
内訳を足し上げると1,430万円になりますが、表記は1,630万円。200万円の差が生じます。
f flowerのように「初期在庫を含む/含まない」といった説明可能な差ではなく、どの項目に対応するのか資料からは判断できません。運転資金が含まれているのか、物件取得費の上振れを見込んだ数字なのか、必ず確認してください。
なお保証金0円という表記は注目に値します。物件の保証金(敷金)とは別に、FC本部に預ける加盟保証金が不要という意味であれば、解約時の資金拘束がないということになります。
収益モデル
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 月間売上 | 1,200万円(坪40万円程度/席数により変動) |
| ロイヤリティ | 売上の5% |
| 営業利益 | 300万円 |
| 黒字までの期間 | 記載なし |
| 初期費用回収期間 | 1年 |
| 店舗数 | 6店舗 |
※「黒字までの期間」の欄が空欄です。他のFC資料ではすべて記載されている項目なので、立ち上げ期の見通しについては別途確認が必要です。
月間PL(本部公開)
※前提:30坪70席、オーナーは店に入らない
| 項目 | 平均的なお店 | 売上比 |
|---|---|---|
| 客数 | 3,965 | — |
| 客単価 | 3,089円 | — |
| 売上 | 12,247,885円 | 100% |
| 原価(32.7%) | 4,005,058円 | 32.7% |
| 粗利益 | 8,242,827円 | 67.3% |
| 人件費(22%) | 2,694,535円 | 22.0% |
| 広告宣伝費 | 800,574円 | 6.5% |
| ロイヤリティ | 612,394円 | 5.0% |
| 家賃 | 400,000円 | 3.3% |
| 水光熱費 | 367,437円 | 3.0% |
| リース料 | 250,000円 | 2.0% |
| 経費計 | 5,124,940円 | 41.8% |
| 加盟店オーナー利益 | 3,117,887円 | 25.5% |
※本部注記:「あくまで記載の数値は実績値であり、結果を保証するものではございません」。
検算結果:1円単位まですべて一致
このPLは千円単位に丸めず、計算結果をそのまま掲載しています。すべて検証しました。
| 検証項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 客数×客単価 | 3,965×3,089 | 12,247,885円 ✓ |
| 原価=売上×32.7% | 12,247,885×0.327 | 4,005,058円 ✓ |
| 人件費=売上×22% | 12,247,885×0.22 | 2,694,535円 ✓ |
| ロイヤリティ=売上×5% | 12,247,885×0.05 | 612,394円 ✓ |
| 経費の合計 | — | 5,124,940円 ✓ |
| 粗利益−経費計 | 8,242,827−5,124,940 | 3,117,887円 ✓ |
すべて1円の誤差なく一致しました。坪効率も12,247,885円÷30坪=408,263円で、サマリーの「坪40万円程度」と整合します。
営業利益率25.5%という異例の高さ
飲食店の営業利益率は一般に10%前後と言われます。このPLの25.5%は、その2倍以上です。
なぜこの数字が出るのか。FL比率(原価+人件費)を見ると理由がわかります。
| むに | 一般的な目安 | |
|---|---|---|
| 原価(F) | 32.7% | 30%前後 |
| 人件費(L) | 22.0% | 30%前後 |
| FL比率 | 54.7% | 60% |
| 家賃 | 3.3% | 10%前後 |
本部が「フード原価と人件費をバランスよく抑えることによって飲食店のジャンルでは高い利益率を出すことが出来ます」と説明するとおり、FL比率は目安を5ポイント下回っています。
しかし本当に効いているのは家賃です。売上比3.3%は、飲食業としては破格の低さです。一般的な10%なら月122万円の家賃になるところ、40万円で済んでいます。差額82万円がそのまま利益に乗っています。
「家賃を広告費に置き換える」という戦略
家賃が安い理由は明快です。本部は特徴③でこう述べています。
「広告で集客を行うので好立地に出す必要がありません」。
実際、PLの広告宣伝費は月800,574円(売上の6.5%)。飲食店としてはかなり高い水準です。本部サポートに「SNS運用サポート」「ホットペッパー運営管理サポート」が含まれているのも、この戦略に沿っています。
固定費の総額で比べると——
| むにの方式 | 好立地に出した場合(仮) | |
|---|---|---|
| 家賃 | 400,000円 | 1,000,000円 |
| 広告宣伝費 | 800,574円 | 300,000円 |
| 合計 | 1,200,574円 | 1,300,000円 |
金額としては大きく変わりません。しかし性質がまったく違います。
- 家賃:契約期間中は削れない。しかし立地という資産は残る
- 広告費:いつでも止められる。しかし止めれば集客もその月から止まる
これは柔軟性とリスクのトレードオフです。売上が苦しい月に広告を絞れば即座にコストは下がりますが、翌月の客数も落ちます。初期費用を抑えられる一方で、月80万円の広告費は永続的に必要な固定費だと理解しておくべきです。
「オーナーは店に入らない」という前提
PLの注記にある「オーナーは店に入らない」は、このFCの最大の訴求点です。
人件費2,694,535円はすべて雇用スタッフの分。つまり月311万円は、オーナーが現場に立たずに得られる利益という設計になっています。本部が「複数店舗展開したい方」を想定人物に挙げているのも、この構造があるからです。
ただし本部は注意点②で釘を刺しています。「信頼のおける人間が一人はいないと、全く自分が関与しないという状態を作るのは難しいです」。
月1,200万円を売る70席の店を、オーナー不在で回すには店長クラスの人材が必須です。この人を採れるかどうかが、PLの前提が成立するかどうかを決めます。
居抜き物件が見つかるかどうかで初期費用が変わります
内訳の物件取得費600万円は「居抜き」前提で、「物件により変動あり」と注記されています。そして本部は注意点①でこう明記しています。
「居抜き物件かスケルトンで大きく初期費用が変わりますので、物件探しが重要です」。
スケルトン(内装なしの状態)から作る場合、内外装費400万円では到底収まりません。厨房設備、空調、給排水をゼロから引く必要があるためです。
つまり1,630万円(または1,430万円)という初期費用は、条件の良い居抜き物件を確保できた場合の金額です。物件次第で数百万円単位で変動すると考えておくべきです。本部サポートに「物件探しサポート」が入っている理由でもあります。
公開されているPLは1パターンのみ
他のFC資料の多くが「良くないお店/平均/繁盛店」の3パターンを示すのに対し、むには「平均的なお店」の1列のみです。
数字そのものは1円単位まで正確ですが、下振れしたときにどうなるかは示されていません。食べ飲み放題は原価が客の食べる量に左右されるため、原価率32.7%が崩れるリスクもあります。店舗数6店のうち、売上が低い店の実績を確認しておきたいところです。
回収期間について
初期費用1,630万円に対し月利益3,117,887円なので、単純計算では約5.2ヶ月で回収できます。本部表記の「1年」はかなり保守的な見積もりです。
「黒字までの期間」が空欄であることを踏まえると、立ち上げ期に数ヶ月を要する想定を含んだ数字と読めますが、確認が必要です。
むにの3つの特徴
① 飲食未経験でも可能
「代表自身も飲食未経験から開業しておりますので、特別なスキルは不要です」。
本部コメントにも「オペレーションが簡易的なので調理経験のない方でも開業が可能です」とあります。食べ飲み放題はメニューが固定されるため、オペレーションを標準化しやすい業態です。
② 高利益率
「フード原価と人件費をバランスよく抑えることによって飲食店のジャンルでは高い利益率を出すことが出来ます」。PLで検証したとおり、FL比率54.7%・営業利益率25.5%という数字が裏付けています。
③ 初期費用を抑えることが可能
「店舗コンセプトを再現するための内装費用は比較的低コストで抑えることが出来ます。かつ広告で集客を行うので好立地に出す必要がありません」。
大衆酒場という業態は、内装に過度な作り込みを必要としません。焼肉店が内外装に1,500万円かかるのと比べれば、400万円という水準は業態の違いがそのまま表れています。
加盟前に確認すべき2つの注意点(本部公表)
① 居抜き物件を見つけられるかがポイント
前述のとおり、初期費用を左右する最大の変数です。良い居抜き物件は競争も激しく、タイミングの要素も大きくなります。開業までのスケジュールは物件次第で伸びると考えておくべきです。
② 人材が必要
「信頼のおける人間が一人はいないと、全く自分が関与しないという状態を作るのは難しいです」。
PLが「オーナーは店に入らない」前提で組まれている以上、これはPLの成立条件そのものです。もしオーナーが店に入るなら、その分の人件費は浮きますが、「不労所得型」という前提は崩れます。
逆に言えば、店長を1人立てられれば、オーナーは次の店舗の立ち上げに回れる。本部が「複数店舗展開したい方」を想定しているのは、この再現性を前提にしているからです。
フランチャイズ図鑑の有料note
失敗しないフランチャイズ本部の選び方
契約前に“数字”と“条項”で見抜く
この記事で挙げた「確認すべき点」を、どの本部にも使える形にまとめました。本文8,800字。
- 良い本部と危ない本部を見分ける判断基準(数字で確かめる方法つき)
- 契約書・開示書面で必ず質問すべき条項
- 収支シミュレーションの「盛られやすい場所」と、その見抜き方
- 説明会と既存オーナー訪問でそのまま使える質問テンプレート
- 購入者特典:チェックリストPDF/収支シミュレーション添削シート/質問テンプレート
売上が好調な店舗・伸び代がある店舗の特徴
好調な店舗:店舗のマニュアルを遵守している
「広告、調理方法から仕込み、接客に至るまで全てのマニュアルが用意されているのでそれ通りにしていただくことで売上を上げることができます」。
FCとして最も健全な回答です。再現性のあるマニュアルがあり、守れば結果が出る——そう言い切れるということは、標準化が進んでいるということでもあります。
伸び代がある店舗:スタッフ教育をしっかり行っている
「リピーターを作るには接客や店の雰囲気(従業員満足度がある)がとても重要なので、その空気感を作ることで伸び代につながります」。
「従業員満足度」という言葉が出てくる点が興味深いところです。広告で新規は呼べる。しかし広告費を下げるにはリピーターが要る。そのリピーターを作るのは店の空気であり、空気を作るのはスタッフの満足度——という連鎖です。
月80万円の広告費を圧縮できるかどうかは、ここにかかっています。
客層
- 20〜30代の若者(主に女性)
- SNS利用者
- 情報感度の高い方
客単価3,089円という価格帯は、食べ飲み放題として若年層が気軽に使える水準です。SNSで見つけて来店する層を想定しているため、広告チャネルもSNSとホットペッパーが中心になります。
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まとめ
- 運営は株式会社casual。若年層向け食べ飲み放題の大衆酒場FC。6店舗
- 初期費用表記は1,630万円だが内訳の合計は1,430万円(200万円の差・要確認)。保証金0円
- ロイヤリティ売上の5%
- 公開PLは1円単位まで検算が完全一致。精度の高い資料
- 営業利益率25.5%は飲食業の一般的な水準の2倍以上。FL比率54.7%、家賃は売上比3.3%
- ただし広告宣伝費は月80万円(売上の6.5%)。「家賃を広告費に置き換える」戦略
- オーナーは店に入らない前提のPL。成立条件は信頼できる店長の確保
- 本部公表の注意点は居抜き物件の確保と人材。「黒字までの期間」は資料で空欄
数字だけ見れば、本サイトで検証してきた飲食FCの中でも最も収益性が高い部類です。月1,200万円を売って311万円残り、しかもオーナーは店に立たない。PLの精度も高く、本部の説明と数字が整合しています。
一方で、この数字は3つの条件が揃って初めて成立します。①条件の良い居抜き物件を取れること、②月80万円の広告を回し続けられること、③店を任せられる人を採れること。本部が注意点として挙げているのも、まさに①と③です。
検討する際は、初期費用の200万円差と空欄になっている黒字化までの期間を確認したうえで、6店舗のうち最も売上が低い店の実績を見せてもらってください。公開PLが「平均」1パターンのみである以上、下振れの実像は既存店に聞くしかありません。
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法人を設立してフランチャイズに加盟するなら
FC本部の多くは法人での加盟を条件にしています。会社設立には登録免許税などの実費がかかりますが、サービスの利用で実費負担を抑えられる選択肢もあります。
開業後、この数字を管理するのはオーナー自身です
本部が示すPLはあくまでモデルケースです。実際に原価率や人件費率が計画どおりに収まっているかを毎月確認し、ズレの原因を潰していくのは加盟店側の仕事になります。開業前の事業計画づくりから決算まで相談できる税理士を見つけておくと、数字の異変に早く気づけます。
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